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2023.08.07

イベント登壇

日本OSS推進フォーラム 第4回 定例テック&ビジネス勉強会 ~欧州発のOSS FIWAREのご紹介~

2023/7/21に開催された 日本OSS推進フォーラム 第4回 定例テック&ビジネス勉強会において、iHub Baseの笹野が「欧州発のOSS FIWAREのご紹介」と題した発表を行いました。本記事では、この発表内容を基に、FIWARE概要と、その普及に向けたエコシステムについて紹介します。

FIWARE概要

FIWAREは、EU(欧州連合)の官民連携プログラムによって開発・実証された次世代インターネット基盤ソフトウェアです。図に示したような8つのカテゴリセクターでFIWAREの実証を行いながら、スタートアップの育成や社会・公共分野のアプリケーションを開発し、EU圏の産業の活性化を図る目的で開発されたOSSです。FIWAREの特徴が都市OSやデータ連携基盤と親和性が高いため、国内ではFIWAREはスマートシティの文脈で語られることが多いですが、スマートシティ専用ではありません。


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現在(20237月時点)は、30ヶ国/300都市でFIWAREが活用されています。FIWAREの普及を推進するドイツの非営利団体のFIWARE Foundationには、45ヶ国/600以上のメンバが参加しています。日本からは、図に示したような企業・団体がメンバになっています。


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世界各国では、交通、教育、観光などの分野で FIWARE と連携可能な1,000以上の様々なサービスが創出されています。このようなサービスについては、FIWARE Marketplaceで公開されていますので、ぜひご覧ください。


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次に、FIWAREには、相互運用性、データ流通、拡張容易の3つ特徴があります。これらの特徴が、スマートシティにおけるデータ連携基盤の要件に合致し、国内ではスマートシティの文脈でFIWAREが語られることが多い背景となっています。


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FIWARE
普及に向けたエコシステム

FIWARE2011年からEUの官民連携プログラムで開発が始まりましたが、その出口戦略として、2016年にFIWARE Foundationが民間主導で設立されました。設立メンバは、Atos (フランス)Engineering (イタリア)Orange (フランス)Telefonica (スペイン)です。また、FIWARE FoundationFIWAREを世界に広げていくにあたり、いくつかのプログラムを実施しており、そのひとつにFIWARE iHubsがあります。


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FIWARE iHubs
は、”Think Global, Act Local”というスローガンを掲げています。これは、世界中でどんなことが起こっているかを理解したうえで、各地域で各自の活動を行うという意味です。iHubメンバが中心となり、地域のステークホルダーの方々を巻き込んで、共創活動の拠点になることを目指しています。iHubは、FIWARE利用者コミュティであり、FIWARE技術への容易なアクセスを提供し、ビジネス開発をサポートします。


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現在(2023年7月)は、世界中で39FIWARE iHubsが活動しています。ヨーロッパ地域に多く設置され、特にスペインやドイツには1つの国の中に複数のiHubが設置されています。また、北米、南米、アフリカ等でもiHubが設置されており、国の枠を超えたiHub同士の連携も進んでいます。iHub Baseは、国内唯一のiHubです。


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次に、代表的なiHubを2つ紹介します。ASTRID iHUBはドイツのヴォルフスブルクにあるiHubです。ヴォルフスブルクは、フォルクスワーゲンの本社がある町で、このiHubは、自治体が出資する公共サービス事業者であるシュタットベルケ・ヴォルフスブルクのグループ企業が運営しており、日本で言うと自治体のスマートシティ推進室やデジタル戦略室のような役割を担い、町のデジタル化を進めています。


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このiHubでは、市民向けのスマホアプリを作っており、町にあるガソリンスタンドや学校の位置や関連情報が分かります。図の左から二枚目と真ん中の画面では、バスのロケーション情報も分かり、バスの運行状況がリアルタイムで表示されます。市民は自分が乗りたいバスの時刻表を調べたり、運行状況を確認できたりします。図の一番右側は、電気自動車の充電ステーションを表しています。ドイツは電気自動車の普及率が30%程度で、町のいたるところに充電ステーションがあるのですが、充電ソケットの形状が45種類あります。このアプリでは、充電ステーションの位置に加えて、充電ソケットの情報や使用状況についても確認できます。


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次に、スペインのウエルバという港町にあるiHubでは、港湾業務のデジタル化を推進しています。iHubのオフィスは、魚の競りを行う魚市場の2階にあります。


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このiHubでは、港湾業務のデジタル化やサービス開発に取り組む企業やスタートアップに対して、無償でオフィスを貸し出したり、アイデアを1階の魚市場で試したりする環境を提供しています。これらの企業やスタートアップ等がアイデアを実現するにあたり、地元の有識者、企業、大学の先生、メンター等とマッチングさせて、ビジネスの立ち上げも支援しています。


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最後に、FIWARE関連の事例情報を紹介します。25ヵ国125都市135ソリューションの事例をまとめた小冊子「FIWARE4Cities」がFIWARE Foundationから公開されており、ダウンロードできます。また、Webサイトでは、FIWARE Impact Storiesとして、スマートシティに加えて、さまざまなドメインでのFIWAREの活用例が紹介されています。こちらの事例では、FIWAREの利点やシステム構成等も開設されています。是非、ご覧ください。

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以上、欧州発のOSS FIWAREのご紹介でした。